パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんでいたり、周りが困っているケースに診断される病気です。認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから障害(問題)が生じるものです。注意したいのは、「性格が悪いこと」を意味するものではないということです。
パーソナリティ障害には、他の精神疾患を引き起こす性質があります。パーソナリティ障害と合併したほかの精神疾患が前面に出ることが多いので、パーソナリティ障害は背後から悪影響を及ぼす黒幕のような病気だということができます。
パーソナリティ障害の治療
治療は、障害のタイプ、重症度、患者様の生活スタイルなどに応じて行われます。患者様と医師の一対一で完結するものではなく、周囲のサポートや、心理士・ソーシャルワーカーなどの介入も有効です。
代表的な治療方法は、精神療法や心理療法です。感情、考え方、行動の仕方について学ぶことを通して、病気によって起こる問題への対処方法を身につけます。個別に行われることもあれば、同じ境遇にある方が集まって行われることもあります。
また、症状の現れ方やタイプによって薬物療法が検討されます。医療保険で認められているパーソナリティ障害の薬はありませんが、実際に使用される薬には抗精神病薬などがあります。抗不安薬は自殺企図などに用いられる恐れがあり、抗うつ薬は情動を不安定にする恐れがあるため、投与は必要最小限にとどめられます。