理由もなくイライラしたり、怒りっぽくなる症状が目立つ場合は、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、適応障害、認知症、統合失調症、強迫性障害などの病気が考えられます。
イライラする
イライラする
うつ病は、「気分が落ち込んでいる」、「何をしても楽しめない」、「やる気がわかない」といった精神状態で、不眠や食欲不振、疲れやすい、集中力の低下、イライラしやすいなどの症状が現れ、悪化してくると日常生活に支障が生じてきます。また、ものの見方や考え方が否定的になる傾向もみられます。
うつ病の治療は原則として「十分な休養」が大事です。それに加えて「薬による治療」や「ストレスの原因に対する環境調整」「自分の考え方を見直していく」など、患者様や病状に応じた治療が行われます。
双極性障害はハイテンションで活動的なそう状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返すことが多い病気です。そう状態のときには「イライラしやすい」「いつもより多く話す」「考えがまとまらない」「お金遣いが荒くなる」などの症状がみられたりします。
双極性障害はかつて「躁うつ病」と呼ばれており、うつ病の一種と誤解されがちでしたが、実はうつ病とは異なる病気で、治療も異なります。
双極性障害の治療の中心は、薬物療法と心理・社会的療法です。
気分安定薬や抗精神病薬を用いて治療を行うことが多いです。
躁(そう)状態に用いる薬剤、うつ状態に用いる薬剤などがあり、薬剤によって期待できる働きが異なります。
【気分安定薬】(バルプロ酸、カルバマゼピン、リチウムなど)
薬剤によって異なりますが、そう状態とうつ状態の気分の波を小さくし、維持する働きがあります。
【抗精神病薬】(クエチアピン、オランザピン、アリピプラゾールなど)
そう症状、うつ症状に対して用いられます。薬剤によって、期待できる働きが異なります。
昔は気分安定薬が多く使われていましたが、最近は抗精神病薬が使われることも増えてきています。両者が併用されることもあります。
心理・社会的療法では、病気に対する理解を深め対処法を学びます。心理教育や認知行動療法などがあります。
【心理教育】
病気や薬剤の性質を理解し、病気と向き合います。再発の予兆を自分自身で把握することも目標となります。
【認知行動療法】
うつ状態ではマイナス思考になったり自分を責めたりすることがあります。そのことに気づき、少しずつ客観的で合理的な考え方ができるように練習します。そう状態になるとイライラしやすくなったり、いつも以上に元気よく活動したり、何日も眠らずに過ごしたりします。そういった傾向を自覚し、早めに修正したり受診、治療に繋げやすくなるようにします。
一般的には年齢を経るに従って物忘れがゆっくりと出現し進行する病気です。イライラしたり、「物を盗られた」などの被害妄想が出現したり、眠れなくなったりするなど多様な症状が出現します。ほとんどは高齢者ですが、ごく稀にもっと早くに発症する方もいらっしゃいます。症状によっては睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、漢方などの薬を使うことで症状が楽になることがあるため、必要に応じて使用します。また中核症状である物忘れから不安やイライラ、気持ちの落ち込みなどが現れることも多いため、ご家族など周囲の人の関わり方や生活環境を調整することで症状が緩和されることもあります。また一見、認知症と思われても他の病気で物忘れがひどくなっているように見えることがあります。その可能性がある場合には更なる精密検査や治療などを目的に近隣医療機関にご紹介させていただきます。
統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなり、そのため幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。幻覚とは実際にはないものをあるように感じる知覚の異常です。自分の噂や悪口が幻聴として聞こえてくるなどの症状もみられます。妄想には、事実ではないことをそうだと思い込むことで、嫌がらせをされているという被害妄想やインターネットやテレビが自分に関する情報を流しているという関係妄想、「自分は天皇の家系だ」などと思い込む血統妄想、「アイドルと交際している」などの恋愛妄想などがあります。
周囲から見ると、「独り言を言っている」「悪口を言われたなどの被害を訴える」「話がまとまらず何を言っているか理解しにくい」「一人でいることが多い」などがサインとして表れます。
薬物療法と心理社会療法などを用いて治療を行います。